現在ポンピドゥーセンターではマグリットやトゥオンブリーの展示がおこなわれている。友人に誘われて久しぶりに行ってみる。
もともと以前パリに来ていた時に、ブリュッセルのマグリット美術館を訪れたことがあるし、今回の展示はそれに比べてどうなのかなぁと、期待半分不安半分というところだった。
だが、もちろんそこはポンピドゥー。今回のテーマである「イメージの裏切り」、その意味が存分に生かされた内容となっていた。
個人的に気になったのは、20年代のマグリットがヘーゲル読書会へ出席していたということ。当時のフランス知識人の読むヘーゲルだから、ある程度の偏りはあっただろうけれど、はっきりひとつひとつの絵について解説されると結構「ヘーゲル的」なのだなぁと思った。
もうひとつの展示がサイ・トゥオンブリー。20世紀アメリカの人気抽象画家である。
たまたま同じくらいの時間帯に、どこか外国の学芸員の団体みたいな人々が回っていた。
トゥオンブリー最初期の落書きみたいな絵に対して、「これは素晴らしいですね」とか、「この時代は最も評価されています」とか、ほめまくるので個人的には「そういうコント」みたいで面白かった。
冗談はさておき、マグリッドの頭で考えてから描く絵に比べて、インスピレーションとイメージに満ちていて、自由な作風だと思った。余白や手数の少なさから、こちらに緊張や解釈を過剰に求めないところがいい。
いろんな見方があるのだろうけれど、現代のグラフィティのように感じて、僕は結構好きだった。
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