船の上のライブハウス「Péniche Marcounet」、「Péniche Anako」

パリの象徴ともいえるセーヌ川だが、同時にペニッシュpénicheという文化を忘れてはならない。

 

これは、日本語でいうと船なのだが、普通の移動用の船ではないし、遊覧船でも屋形船でもない。バーやレストラン、そしてライブハウスなどを兼ねた船のことを指す。

 

いままでで二度訪れたことがあるのだが、岸に固定されたものばかりであまり船という感じはない。それにしたってなぜ船で営業するのだろうか。音を出すのは水面下の部分なので、吸音性にすぐれていて便利なのだろうか。

 

写真はMarcounetという名前の船。割と落ち着いたおしゃれな感じ。この時は友人のアコーディオニストである、Tacaさんのトリオのライブ。

そしてこちらはAnakoという船。

 

その夜はJam Orientaleというのをやっていた。入場料は投げ銭。移民の多いパリではこうして異国的な音楽もたくさんある。ジプシージャズだってそう。全く違う文化がまじりあうことで、怪しげな、そして新しい芸術が生まれているのだ。素晴らしい。

独特な旋律とリズム。奇数拍のものや、ダンス的なものなど。観客も7、80人くらい入っていたんじゃないか。

 

 

 

 

割と値段も安いところが多いので、パリ観光がてら、一度出かけてみてはいかがでしょうか。

 

Marcounetのホームページ

Anakoのホームページ

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インスタントパスタ「Pasta Box」

日本のコンビニパスタみたいなものが、こちらにも存在する。

 

その名もPasta Box。お皿みたいな感じではなくて、映画に出てくる中華料理みたいに、口の広い四角柱という感じの容器に入っている。フォークも中に入っている。

ちなみに、フランスのパスタはすごく評判が悪くて、コシがないだの素材が悪いだのと言われている。インスタントパスタだとどうか。実際に食べてためしてみた。

 

写真はカルボナーラ。いろんな種類があって、ほかにはたとえばミートソースや、マキシマムチーズ、みたいなのもある。どれもだいたい二分程度チンすれば食べられる。

開けてみるとこんな感じ。

フォークの色、なんとかならんか。

味は結構おいしい。意外に、と言えば失礼かもしれないが。(欲を言えばコショウもかかっていてほしかった。自分でかけた)

 

日本のものと比べるなら、卵の黄身などのギミックがない分ちょっと物足りないが味は遜色ない。わりと濃厚な感じがする。これで500円弱なので、うん、これからたまに食べる気がする。

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日本人/フランス人

フランスについて約半年くらいになる。

最初は日本と違うところばかりが目についたフランス暮らしだが、だんだんと慣れたり飽きたりしてくるもので、今となっては日本と比べるということもしなくなってきた。

日本人だからどうこうということはあまりなく、むしろ不便なところがあれば、「これが日本だったら」と不満をもらしてしまうくらいだ。(そしてそういう場面は数えきれないくらいある)。もちろんこちらでの仕事は日本よりもはかどる部分があって、それは本当に助かるし感謝もしている。

 

だが、だからといってフランス人っぽくなってきたとは全く思わない。

日本人とフランス人という二つの極があって、日本人からだんだんとフランス人になっていく、というわけではないような気がする。

どちらかというと、「フランスにいる日本人」みたいになってきたとは感じる。それはたとえば、フランス語の食べ物を指すときにフランス語風の発音になってしまったり、飲み会の時に赤ワイン、といった慣習を知らずに身につけてしまったり、といった具合だ。でもそれが必ずしもアイデンティティとしてフランス人らしさが混じってきたという感じではない。説明するのはもどかしいが、なんとなくそういう感覚だ。

 

関係ないが、写真は「ポワシーの核」というアプリコットなどのリキュールで、とってもうまいです。

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バスティーユの楽器屋「Paul Beuscher」

仕事のお昼休みに、バスティーユの楽器屋、Paul Beuscherに行ってみた。

 

ちょっと都心から距離があるので、近くのおしゃれなブリオッシュカフェやマレのついでに行くのがいいかもしれない。

 

ちょうど昼休み(13:30-14:30)だったので、近くのカフェで本を読みながら待つ。

外から見ただけでも、大きなウィンドーだったので期待はふくらむ。

この楽器屋、実は間をへだてて30メートルほど先にもう1店舗ある。こちらはギター関連、そちらはピアノや管楽器が置いてある。

 

さて、満を持して中へ入ると、思ったより奥行きが無い。思った通り展示数も備品も数が少ない。値段もそんなに安くはない。

特にギター周りの備品が少ないのは致命的で、弦の種類こそ多いものの各弦売りはしていないし、ハーモニカホルダーは無い、クリップチューナーは少ない、カポは一種類、電池はない、等々。日本の都市圏の楽器屋が懐かしくなる。ただし、やっぱりアコーディオンの種類は多い。(見たことない種類のものもあった)

 

それでもカズー6.5€を発見し、購入してみる。

(カズーは管楽器売り場にある。でも管楽器やりたい人が買うのか?)

 

Original tin Kazooという商品名で、イギリス製。僕は初めてだったのだが、発音部分が着脱可能(フィルム部分のリードを取り出してそれ以外の部分を洗える)なタイプだった。

 

ちなみにBlanche駅近くのDouai通りはギター街らしいので今度行ってみよう。

ちなみに、

ギターストラップはサングルsangle (de guitare)、

カズーはカズーkazoo、

ホルダーはポルトporte、

カポはカポダストルcapodastre、

チューナーはアコルダールaccordeur、

エフェクターはペダルデフェpedale d'effet

シールドはカブルcâble (de guitare)。

 

Paul Beuscher

営業時間

火曜から金曜、10:30-19:00

(ただし13:30‐14:30昼休み)

 

 

 27 Boulevard Beaumarchais, 75004 Paris


ポンピドゥーセンター「マグリット展/トゥオンブリー展」

現在ポンピドゥーセンターではマグリットやトゥオンブリーの展示がおこなわれている。友人に誘われて久しぶりに行ってみる。

 

もともと以前パリに来ていた時に、ブリュッセルのマグリット美術館を訪れたことがあるし、今回の展示はそれに比べてどうなのかなぁと、期待半分不安半分というところだった。

だが、もちろんそこはポンピドゥー。今回のテーマである「イメージの裏切り」、その意味が存分に生かされた内容となっていた。

 

個人的に気になったのは、20年代のマグリットがヘーゲル読書会へ出席していたということ。当時のフランス知識人の読むヘーゲルだから、ある程度の偏りはあっただろうけれど、はっきりひとつひとつの絵について解説されると結構「ヘーゲル的」なのだなぁと思った。

もうひとつの展示がサイ・トゥオンブリー。20世紀アメリカの人気抽象画家である。

 

たまたま同じくらいの時間帯に、どこか外国の学芸員の団体みたいな人々が回っていた。

トゥオンブリー最初期の落書きみたいな絵に対して、「これは素晴らしいですね」とか、「この時代は最も評価されています」とか、ほめまくるので個人的には「そういうコント」みたいで面白かった。

 

冗談はさておき、マグリッドの頭で考えてから描く絵に比べて、インスピレーションとイメージに満ちていて、自由な作風だと思った。余白や手数の少なさから、こちらに緊張や解釈を過剰に求めないところがいい。

 

いろんな見方があるのだろうけれど、現代のグラフィティのように感じて、僕は結構好きだった。

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奇妙なシステムのカフェレストラン「ZA」

フォーラム・デ・アール Forum des Hallesという、シャトレ、レアール駅の巨大駅ビルの中に、ZAと書かれた店がある。

 

地上階の開放的な雰囲気の中にあるこのお店、実は奇妙なシステムをもつモダンなカフェだった。

 

出来たばかりらしく、店内も清潔で整頓されている。Wi-Fiももちろん無料で、デジタルカフェという雰囲気である。

入った正面ではパンなどを選べるのだが、その日は食事を済ませてきたのでとりあえず着席。

 

出されたのは普通のメニューなのだが、項目が「Zweets」とか「Zoups」とか「Zalads」となっていて面白い。内容は割と普通なのだが、ワンプレートランチ(どんぶりもの)みたいなのがあったので忙しいひとにはいいかもしれない。

カフェラテを注文。

ひとつひとつの列が長いテーブルになっているのにはわけがあった。ご覧のように、注文したものが黄色いプレートにのせられて、回転寿しの要領で「しゅー」、と目の前に運ばれてくるのだ。

 

注文や勘定は人力だったので人件費を抑える目的というわけではなさそうだが、おしゃれという印象なのだろうか。

 

隣の隣に座っていたスペイン人らしき女性客たちはきゃっきゃ言って喜んでいたので、物珍しさ目当ての方はぜひどうぞ。

値段も場所の割には安めでしたよ。

ZAのホームページ

 

開店時間

毎日7:30-23:00

 

Passage de la Canopée 75001 Paris


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激辛担担麺「Trois fois plus de piment」

噂の激辛店、Trois fois plus de pimentに行ってまいりました。

 

人気の現代美術館、ポンピドゥーセンターのすぐ近くにあるこの店、開店時からすでに満席状態。

パリジャンは辛いのが苦手、と思われていたのだが、それが嘘であるということをこの店が証明している。店名は「唐辛子三倍増し」という意味。

 

(ただし、女性二人がほとんど手をつけずに残しているところも見てしまった。もったいない……)

 

このお店の名物が四川風担担麺(Nouilles Dan Danという)である。値段は10.40€だから、日本円にすると1400円くらい。やや高いが、ラーメンの相場を考えるとこんなものだろうという値段。

 

味はというと、辛いサンラータン麺という感じで、酸っぱ辛い。牛ミンチもたっぷり入っているし、ピーナッツとカシューナッツの自然な甘味と食感が効いている。四川風だが山椒はやや抑えめ。

人気の秘密はもうひとつあって、辛さが選べるのだ。1~5までの段階があって、僕は2を選択したのだが、汗をかくような辛さではあるものの、日本の激辛グルメ好きの方なら3以上を選択した方がいいかもしれない。

 

内装は写真のような感じで、一般的な中華レストランに比べておしゃれだし、若者に人気があるのもうなずける。

お客は団体もいるが、カウンター状の席もいくつかあり、男性一人のお客さんもちらほらいた。

 

姉妹店のDeux fois(こちらは唐辛子二倍という意味)はほかにもいろいろなメニューがあるようなので、今度また行ってみよう。

Trois fois plus de pimentホームページ

 

開店時間

12-15時、19-23時

月曜定休。

 

*持ち帰り客も数人いたので、試してみてはいかがでしょう。

 

http://troisfoisplusdepiment.fr/en


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正月のモンサンミシェル

元旦早々、年始の挨拶もそこそこに、日本から来たとある友人とともにモンサンミシェルへ行ってきました。

 

濃い霧の中、パリを出発して4時間ほど高速を走ったあと到着。

島にはバスが入れないために、手前のバス停で降り、昼食へ。

 

モンサンミシェル名物のオムレツだった。

写真がそれである。

見てお分かりのように、クリームソースと見紛うほど泡立てられたオムレツ。

食べても食べても実体がない。

さながら仙人の食べ物である。

山奥でひとりふわふわのオムレツを食べる仙人の閑居を想像する。

 

それはあながち間違いではなくて、19世紀ごろ巡礼の信者たちに出したオムレツが始まりだという。少ない材料でたくさん食べた気になる、気持ちだけでも豪華な料理を、という心遣いから生まれた料理である。

 

でもそうはいっても、今日ではレストランで出される名物料理でもある。バターや卵、それぞれ素晴らしい食材を使っているのであろう。うまいものはうまい。

いわばおかずのアイスクリームみたいな感じ。

用意に時間をかけず、クリーミーな泡ができない店もあるそうだから、食べに行く方は気を付けてください。

 

島の中は狭い路地が参道であり、その両側に軒を連ねる旧民家が今のレストランや土産物屋になっている。

 

古い建物の並ぶ通りには京都の清水のあたりと同じような空気が漂っていて、ひさしぶりの観光気分を高めてくれた。

*今回利用したのはこれです。

EMIトラベルのモンサンミシェルツアー「モンサンミシェルとノルマンディーのいなか村ツアー」

 

バス内でWifiを使えるし、バスガイドさんの案内もあって飽きなかった。

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バス停の充電

有益な情報レスなこのブログ。

久しぶりにTips的なものを。

最近初めて知ったのだが、パリのバス停は充電ができるらしい。

 

写真をご覧ください。何の変哲もないバス停。

大体大きな通りには500メートル置きには設置されている。

その背もたれというか、壁の端には、数字の書いたボタンと、USBの挿入口があるのだ。

 

2015年夏からのサービスで、ここに挿せばUSB系の充電ができるらしい。

観光客には非常に助かるサービスなので、ぜひご利用ください。

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フレンチ生牡蠣「Le Grand Café Capucines」

以前不運な出会いをしてから(旅先の東京であたった)、生牡蠣は避け続けてきた。

だが、「冬hiverはHのつく食材がうまい」らしいフランスで、牡蠣huitreを食べないわけにはいかないということで、正月祝いに食べてきた。

 

各種牡蠣の味見コース(26€)を注文。

塩味のついた4種の牡蠣にレモンをしぼっていただく。

昔は新鮮さが命な食材だけに、特に味付けもせず、生きたまま海水の味で出していたらしいのだが、今はもしかすると手を加えているのかもしれない。

 

味は、もちろんうまい。

フォークを使って貝柱を切って食べるのだが、そんなこともまどろっこしいくらいうまい。

本当は30個くらい一気に食べたい。バケツみたいな容器で。

何も考えずににじゃんじゃん胃に流し込みたい。

付け合わせはパン。

 

昔から塩気の強い牡蠣には、無塩バターとパン、と相場が決まっている。レモンの上に載っていたせいで、

 

「(もしかして、牡蠣と食べるのだろうか……)」

 

と思っていたのだがそんなことはなく、パンに付ける。

 

もう一つ注意すべき点として、写真のように、フィンガーボウルが出てくるということだ。レモンが載っているせいで、これにパンか何かをつけて食べるのか、と思いきやそうではない。

牡蠣は手を使って食べるので、これで手を洗えということなのだ。

 

牡蠣は、焼き網みたいな台に上の、大きな皿にしきつめられた氷に載せられて出てくるのだが、その下にはこれが出された。

 

左がやわらかい黒パンで、バターによく合う。

右は少し酸味のあるソースで、梅のようなレモン酢のような味がする。牡蠣につけて食べる。

 

ほかにもどれを頼んでもおいしかったし、観光客以外の人たちも入っていたので、ここはおすすめです。

立地が良すぎるせいで混んでいるだろうけど。

 Le Grand Café Capucines ホームページ

 

 

 

4 Boulevard des Capucines, 75009 Paris


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あけましておめでとうございます

新年あけましておめでとうございます。

 

ここ数年人生の転換期が続いてるのだが、昨年はパリで生活するようになるというなかなかの転機を経験した。

 

パリ大好きでパリに渡ったというわけではなかったので、ある意味で最初から日常的なテンションで生活することができた。期待値が高すぎるとその分落胆が大きいということがあるらしい。留学して3、4か月で鬱気味になってしまう人もいる。

僕には幸か不幸かそういうことがなかった。落ち込むことが無かった代わりに、想像を超えるようなことも起きていない。どちらかというとこつこつと積み上げるように日々を過ごしてきた。

 

学問をするということに関してこのブログで書いたことはなかったけれど、こうした状況が良い方に作用していると思う。ひとつの問題にかかりっきりになれるし、朝から晩まで一冊の本を読んでいられる。

授業の数が多くて、自分の研究が思うように進まなかったけれど、その分幅は広がったように思う。研究対象を相対化して、新しい問題にいくつも出会えた。

 

新しい年もこの調子で行きたいし、できればディスカッションに参加したり、原稿を書いたりと積極的に発信していけたらと思う。

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